丹沢登山情報


パークレンジャー・最前線からの報告

2014/12/25 パークレンジャーより自然公園情報 (東丹沢:半原〜仏果山〜土山峠)

 こんにちは、かながわパークレンジャーです。
 東丹沢の自然公園情報をお伝えします。
 
 日付:平成26年12月21日(日曜日)
 コース:<東丹沢>半原〜仏果山〜土山峠
 天気:晴れ
 
 <登山道注意点>
 ・登山道入口近くに林道のゲートがあります。
 ときおりこのゲートの前に車が置いてありますが、
 林道には作業用の車はもちろん消防車や救急車が緊急で
 入ることもありますから駐車は厳禁です。(写真1)
  
 
 ・仏果山から半原越方向にわずかに下ったところに、
 ちょっと緊張を強いられる岩場があります。
 危険な箇所にはロープや鎖が張ってありますが、
 くれぐれも慎重に行動してください。(写真2)
  
 
 ・ほどなく土山峠というところで、登山道は旧道の「みやがせみち」
 と交差します。「みやがせみち」の方が登山道よりも幅が広いので、
 そちらに引き込まれないようにしましょう。(写真3)
  
 (指導標と注意看板があります)
 
 <自然情報>
 すっかり葉をふるい落とした冬の樹木を見ると、
 厳冬に立ち向かおうという強固な意志を感じます。
 ところで、冬は落葉樹の冬芽を観察するのには絶好の季節です。
 寒さや乾燥から大切な冬芽を守るために、
 それぞれの樹木がいろいろな工夫をしています。
 コブシの花芽はふわふわしたベルベットの衣におおわれ、
 トチノキの大きな冬芽はべとべとの粘液に包まれています。
 コナラの冬芽は魚の鱗のような芽鱗(がりん)に守られています。(写真4)
  
 
 <その他>
 今回歩いた登山道沿いには自然や山岳信仰に関する案内看板が設置されています。
 ・野鳥とその鳴き声に関するもの(写真5)
  
 ・薪や炭に利用される樹木の種類(写真6)
  
 ・修験道についての説明(写真7)
  
 ・主な針葉樹の紹介(写真8)
  
 イラストが入ったわかりやすい内容になっていますから、
 ぜひ参考にしてください。
 

2014/11/29 パークレンジャーより自然公園情報 (表丹沢:小丸ー金冷しー大倉尾根)

 こんにちは、かながわパークレンジャーです。
 表丹沢の自然公園情報です。
 
 日付:平成26年11月27日(木曜日)
 コース:小丸ー金冷しー大倉尾根
 天気:晴れ時々曇り
 
 <自然情報>
 ・紅葉は大倉から二俣付近までが見ごろでした。
 ・二俣から標高800メートルまでは、葉を落としている木々が増えて
  きましたが、メグスリノキやモミジの仲間等、残っている葉は鮮や
  かな色を出していました。(写真1、2)
     
  林内を歩いていると、日の光りを浴びて紅葉した葉がライトアップ
  されている様でした。(写真3)
  

 ・稜線上では葉を落とした木々の間から、澄んだ青空や雪化粧の進んだ
  富士山や南アルプスが見えました。(写真4、5)
     

 ・西日が射す頃、標高の低いところに雲がわいてきました。丹沢では
  珍しい眺めです。まるで標高の高い山から見る雲海ようでした。
  (写真6)
  



  11月23日から28日の紅葉情報写真
  2014/11/27 宮ヶ瀬湖周辺
 2014/11/27 土山峠周辺
 
 
  2014/11/27
  御殿森ノ頭 標高450m付近

2014/11/27 御殿森ノ頭山頂

2014/11/27 春ノ木丸山頂
 


  2014/11/27 大山寺付近
 2014/11/27 塩水林道
 
 
  2014/11/27 二俣付近
 2014/11/27 西山林道 小丸尾根分岐付近
 
 
  2014/11/27 陣馬山山頂
 2014/11/27 明王峠
 
 
  2014/11/28 土山峠付近
 2014/11/28 物見峠付近
 
 
  2014/11/28 不動尻付近
 
 
 

2014/08/30 パークレンジャーより自然公園情報 (東丹沢:土山峠‐辺室山‐物見峠‐煤ヶ谷)

 こんにちは、かながわパークレンジャーです。
 東丹沢の自然公園情報をお伝えします。
 
 日付:平成26年8月28日(木曜日)
 コース:<東丹沢>土山峠‐辺室山‐物見峠‐煤ヶ谷
 天気:曇り時々雨
 
 
 <登山道注意点>
 ・つい最近までの真夏日が嘘のような
  肌寒いくらいの気温、秋雨の中での巡視になりました。
  このまま、一気に秋がやってくるのでしょうか。
 
 ・物見峠から煤ヶ谷にかけての登山道は斜面を横切るように付いています。
  そのため、土砂が堆積して、道幅が狭くなっている箇所が多いです。
  定期的に土砂をかき出したり、ならしたりと整備を行っていますが、
  雨や雪が降るたびにまた土砂が堆積してしまいます。
  通行の際には十分注意してください。(写真1.2)
  
 
 <自然情報など>
 ・雨宿りセセリ(写真3.4)
  コボタンヅルの葉の裏でセセリチョウの仲間が雨宿りをしていました。
  チョウの仲間は雨の日にこうして葉の裏で雨宿りをしています。
  翅には鱗粉があるため、雨の日に飛んでも翅が濡れるということは
  ないのですが、やはり雨の日に飛び回ることは少ないようです。
  
 
 ・ナナフシの幼虫(写真5)
  小さい枝が動いていたので、かがんでよく見てみると
  小さなナナフシでした。
  このナナフシやカマキリ、バッタなどは、蛹にならずに
  卵で生まれたときから成虫と同じ形態を持っています。
  そして、脱皮を繰り返すことで成長していきます。
  
 
 ・タマゴタケ(写真6.7)
  出てきたばかりのまるでゆで卵のようなものから、
  カサが開いたものまでありました。
  食用としても人気の高いキノコですが、
  ベニテングタケなどよく似た毒キノコもあるため、
  安易に手を出すのは危険です。
  また、自然公園の特別保護地区では、自然公園法により
  植物はもちろん、落葉や落枝、石でさえも採取が禁じられています。
  また、自然公園法で採取が禁止されていない場所であっても
  土地所有者の許可がなければ採取することはできません。
  
 
 <見どころなど>
 ・土山峠から辺室山周辺には、モミの大木が多数あり、
  樹木の種類も多い天然林であるため、森林浴が楽しめます。
  新緑や紅葉の時期には特にオススメのコースです。(写真8.9)
  
 
 ・辺室山山頂は木々に囲まれた静かな山頂です。(写真10)
  いつまでも休んでいたくなるような
  静かでゆったりとした雰囲気があります。
  
 
 ・物見峠は土山峠方面、煤ヶ谷方面、三峰山方面、札掛方面と
  多方面への分岐点となっています。
  木々の切れ目からは展望も楽しめます。(写真11)
  
 
 ・今回のコースはヤマビルが多いコースでもあります。
  下山後、スパッツを外すと10匹以上のヒルがついていました。
 ・ヤマビルはヒトや動物から吸血し、卵を産むことで繁殖していきます。
  下山後、付いていたヤマビルは除去してそのまま野放しにするのではなく、
  食塩や殺虫スプレー、ハサミで切るなどで必ず駆除してください。
  

2014/08/27 パークレンジャーより自然公園情報 (表丹沢:札掛−長尾尾根−新大日)

 こんにちは、かながわパークレンジャーです。
 表丹沢の自然公園情報です。
 
 日付:平成26年8月23日(土曜日)
 コース:<表丹沢>札掛ー長尾尾根ー新大日
 天気:雨のち晴れ
 気温:午後2時、新大日にて22℃
 
 <自然情報>
 ・林相の変化を味わえるコースです。
 ・まずは貫禄のあるモミの巨木が立ち並ぶ森から始まります。残念なことに歩き
  進めて行くと、枯死したモミの倒木が次々と目に入ってきます。(写真1、2)
  
 ・かつて大気汚染が深刻だった時に、大山などではモミの立ち枯れが問題となり
  ましたが、現在は沈静化しています。ハラアカマイマイと言う害虫が周期的に
  発生しモミの葉を食い荒らすことがありますが、その被害にあったのでしょうか。
 ・しばらく歩くと今度は植林の森に入ります。以前は殺伐とした森でしたが、近年
  間伐などが行われ、地表に光が差し込むようになり、下草も生えてきました。
 (写真3)
  
 ・後半は丹沢のブナ林の中でも人気の高い森が続きます。雨上がりの後、葉の緑が
  輝いて初夏を思わせる光景に出会えました。(写真4)
  
 ・気の早いカエデが紅葉し始めたのでしょうか、葉を朱色に染めた木が何本かあり
  ました。新緑と初秋を同時に味わえたような1日でした。(写真5)
  
 ・展望にはあまり恵まれないコースですが、その分新大日が近づいてくると、木々
  の間から見える景色に心が踊ります。(写真6)
  
 ・お菓子の様なタマゴタケや、ヒメオオクワガタにも出会えました。(写真7、8)
  
 ・雨に打たれ、風も吹いていたので、歩いていても肌寒く感じる時がありました。
  急に天候が変わる時もあるので、雨具などは常に持ち歩くようにしましょう。


2014/08/09 パークレンジャーより自然公園情報 (西丹沢:用木沢・西沢)

 こんにちは、かながわパークレンジャーです。
 西丹沢の自然公園情報をお伝えします。
 
 日付:平成26年8月3日(日曜日)
 コース:<西丹沢>東海自然歩道 用木沢・西沢
 天気:晴れ
 
 昨今のゲリラ豪雨は予測が難しく、まったく気象予報官泣かせですね。
 西丹沢では沢沿いの登山道が多く、沢を渡る場所には木橋がかかっています。
 大雨のあとに木橋の状態を確認することも、パークレンジャーの仕事のひとつです。
 
 犬越路に向かうと用木沢にかかる木橋が流されていました。(写真1)
  
 木橋はワイヤーで立木に固定されており、流れ去ってしまうことはありません。
 流されることを前提に設置されているのです。
 この橋は長さが短く軽いので、3人で架け直すことができました。(写真2)
  
 
 畦ヶ丸に向かう登山道にかかり木がありました。
 折れたスギがフサザクラの木にかかっています。(写真3)
  
 ちょうど登山道の真上で、このままでは落下の危険があるので処理することにしました。
 伸縮性のある高枝用ののこぎりで幹や枝を切り落とします。(写真4)
  
 ロープを掛けて引きずり落とそうとしましたが、(写真5)
 枯れて乾いたスギの枝葉がごつごつしたフサザクラの幹にしっかりと絡みついています。
  
 なかなかの難物でしたが、なんとか除去することができました。(写真6)
  
 
 西沢では本棚や下棚といった豪快な滝に人気がありますが、
 登山道を歩いていると、形の整った小滝もよく目につきます。
 こんな滝を覗きながら飛沫を浴びて歩くのも、夏の西丹沢の楽しみです。(写真7)
  
 

2014/07/24 パークレンジャーより自然公園情報 (表丹沢:堂平‐丹沢山‐塔ノ岳‐金冷シ‐大倉)

 こんにちは、かながわパークレンジャーです。
 表丹沢の自然公園情報をお伝えします。
 
 日付:平成26年7月24日(水曜日)
 コース:<表丹沢>堂平‐丹沢山‐塔ノ岳‐金冷シ‐大倉
 天気:晴れ時々曇り
 
 <登山道注意点>
 ・堂平から丹沢山までの登山道には、クサリ場があります。
  クサリ場上部はザレているところもあるので、注意して通行してください。
 
 ・日高付近には崩壊地があります。(写真1)
  通行に支障はありませんが、ハシゴがあったり、
  道幅が狭くなっていますので、注意して通行してください。
  
 
 ・大倉尾根では、ぬかるんでいる箇所や滑りやすくなっている箇所がありました。
  足元に注意して通行してください。
 
 <自然情報など>
 ・確認できた動植物:ヒオドシチョウ(写真2)、シモツケソウ(写真3)、
  ヤハズハハコ(写真4)
  
  
  ヤマホタルブクロ(写真5)、マタタビ(実)(写真6)、チチタケ(写真7)など。
  
  
 
 <見どころなど>
 ・「丹沢堂平のブナ林」は、かながわの美林50選にも選ばれています。(写真8.9)
  
 
 ・梅雨明けしたこともあるのか、平日にもかかわらず、
  丹沢山、塔ノ岳ともに多くの登山者が見られました。
 
 ・梅雨明けに伴い、気温がどんどん高くなっています。
  この日の巡視でも2リットルほどの水分を消費しました。
  こまめに水分補給を行う、塩分を補給するなど
  熱中症対策を万全に入山してください。
  

2014/07/01 パークレンジャーより自然公園情報 (表丹沢:登山道補修隊)

 こんにちは、かながわパークレンジャーです。
 表丹沢での県民協働活動についてお伝えします。
 
 実施日:平成26年6月29日(日曜日)
 コース<表丹沢>寺山(塔ノ岳表尾根登山口付近)
 天気:雨のち晴れ
 
 <「登山道補修隊」を行いました。>
 ・神奈川県自然公園指導員14名とパークレンジャー等スタッフ4名で
  登山道の整備を実施しました。
 
 ・利用者の多い登山道は、傷みが早いようです。
 ・今回は次のような作業を中心に行いました。
 ・滑りやすい斜面に、階段を作る。(写真1、2、3)
  
  
 ・段差が大きい場所に、ステップを付け足す。(写真4、5)
  
 ・ハードル状になった階段工の手入れ等。(写真6、7)
  
 ・長持ちするようにみんなで工夫しながら整備しました。
  経過を見守り、今後の補修の参考にしていきたいと思います。
 

2014/06/22 パークレンジャーより自然公園情報 (東丹沢:物見峠〜大山三峰)

 こんにちは、かながわパークレンジャーです。
 東丹沢の自然公園情報です。
 
 日付:平成26年6月17日(火曜日)
 コース:<東丹沢>物見峠ー大山三峰
 天気:曇り
 
 <自然情報>
 ・雨の叩きつける力は、意外と強いものです。森に降った雨は木や草
  がクッションとなり、衝撃を和らげてから地面に落ちます。
  植物が後退した場所では、直接雨が地表を叩きつけるため土壌の浸
  食が起きやすくなります。写真1は土柱というものです。小石の周
  りは雨に浸食され、小石に保護された部分だけが残り、柱のような
  形になります。雨の浸食の強さを見ることができます。
  
 ・山頂付近では、コアジサイがいたるところで咲いていました。
  アジサイの仲間ですが装飾花がないので可憐な感じがします。虫達
  に対して目立たない姿を補うため、香りが強めなようです。見かけ
  た時は、香りも楽しんではいかがでしょうか。(写真2)
  
 ・ヤマボウシがコース上で見ごろでした。(写真3)
  
 ・ヤマツツジはほとんど花を落としていましたが、山頂付近ではまだ
  見ごろな株がいくつかありました。(写真4)
  
 
 <登山道情報>
 ・大山三峰の山頂は狭く、週末は混雑していることがよくあります。
  物見峠方面から登る場合は、山頂付近の急登が始まる手前に、野外
  卓のある平坦な場所があります。ここで緑に囲まれて長めの休憩を
  とるのも良いでしょう。(写真5、6)
    
 ・大山三峰は鎖場の多いスリリングなコースの印象が強い山ですが、
  自然林が占める割合が多く、樹種の豊かな森が続きます。時間に
  余裕を持って森の緑も楽しんでいただきたいと思います。